サービススタッフへの対応・心遣い

各メニューごとのテーブルマナーや美しい振る舞いを心がけることももちろん大切ですが、ホテルやレストランなどでプロのサービスを受けたときの、サービススタッフへの対応にも、その人の品格が現れるものです。

 

欧米ではサービスを提供されたお客さまは必ずと言っていいほど、にこやかに「Thank you」(ありがとう)と応答します。ドアマンにドアを開けてもらったとき、料理が出されたときなど、サービスを受けるたびに「Thank you」。とてもスマートで素晴らしいコミニュケーションです。日本語でも軽く「ありがとう」のひと言を添えれば、雰囲気はとてもよくなるはずです。

 

ありがとうのひと言は、人の心を和ませ、穏やかにします。サービススタッフからサービスを受けたら、「ありがとう」と応じるのが、マナーであり、紳士・淑女であるための大切なポイントだと思います。

 

 

 

サービススタッフに質問していい?

わからないことがあれば、サービススタッフに質問しても結構です。ですが、宴会のお料理の場合、プログラムとの兼ね合いや料理を出すタイミング、流れがあります。スタッフへの質問で滞ってしまうのも良くありません。タイミングを見計らって話かけることが大切です。ただし体調に関することなど、緊急があればいつでも結構です。

 

もしも食事中に気分が悪いと感じたら、我慢をせずにサービススタッフに伝えます。周囲にサービススタッフが見当たらないときは、隣のお客さまに伝えてもらいましょう。

 

 

サービススタッフを呼ぶ時は

まずは担当のサービススタッフを目で追ってください。サービススタッフは常にお客さまの様子に目配りし、観察していますから、お客さまの視線に気がつけばすぐに対応してくれるはずです。その際は、片手を軽く頭のあたりまで上げていただくとわかりやすいです。

 

 

食事中の心得

レストランと宴会との違いは、レストランでは不特定多数の方が同じ空間で食事を楽しんでいることです。利用する方々の目的、人数、時間帯、顔ぶれなど、すべてバラバラです。周囲のテーブル、レストラン全体の雰囲気、その場の空気の流れを察しながら食事を楽しむこともマナーの一つです。

 

 

特に注意したい料理

料理 ポイント
①スパゲティ

イタリア料理の代名詞の1つです。

イタリア料理のコース料理では、アンティパスト(前菜)、プリモ・ピアット(第一の皿・パスタ類)、セコンド・ピアット(第二の皿・メイン料理)、ドルチェモ(デザート)となり、スパゲティはプリモ・ピアットになります。日本ではスパゲティがメインにもなりますが、イタリアではメイン料理の前に出されます。

 

またイタリアではスパゲティはフォークでいただきます。日本ではフォークとスプーンが用意されますが、これはアメリカでのサービス方法を真似たものです。また、日本独自の料理である、たらこスパゲティやスープスパゲティ等はスプーンとフォークを組み合わせて使うと食べやすいので、その両方が出されているという事情もあります。

 

スパゲティをいただくときは、右手にフォークを持ち、皿の隅からスパゲティをくるくると巻き上げるようにして口へ運びます。そばやうどんを食べるときのように、口を尖らせいて空気と一緒に吸い込んだりはしないことが大切です。すすって食べる音はマナー違反として嫌われますし、麺にからんだソースと汁気が飛び散ることもあります。これでは衣服もテーブルも汚れますので、十分注意してください。

②ブロシェット(串焼き料理)

レストランでも、金串で肉類や野菜などを刺して提供されることもあります。

レストランでのブロシェット料理の場合は、ナイフとフォークを使って一度料理を串からはずし、皿に乗せてからいただくようにします。フィンガーボウルが提供された場合は片手ずつ指ですすぐとスマートです。すすいだ指はナプキンで拭います。

③ランチタイムでのライス

日本でレストランのランチタイムのメニューに「ライスまたはパン」と表示されていることがありますが、これは欧米にはない習慣です。

 

西洋料理には主食とか副食といった概念はありません。西洋料理のメインディッシュをおかずにご飯(ライス)で食事するのは、日本独特の食べ方です。

 

左にあるサイドディッシュのライスを左手で持ち、和食の食べ方と同じようにして食事をしていることがありますが、西洋料理では皿は動かしませんし、皿を持って食べることをしない(コーヒーカップやブイヨンカップ等は除く)ので、これはマナー違反となります。

 

また、ライスを多くの背に乗せるべきか、お腹部分に乗せるべきか、いろいろと議論はありますが、エレガントに召し上がれるならどちらでも良いと思います。

④温野菜類(ガルニテュール)

料理には付け合わせに季節の温野菜やクレソン、パセリといったハーブなどの青味、パスタやパイ類、あるいはレモンやオレンジのスライスなどが添えられてきます。

 

スイートコーンやグリーンピースといった小粒の温野菜はころころと動き、フォークは刺しにくく、またすくいにくい野菜です。この場合はフォークの背で軽くつぶすと、フォークに乗せやすくなります。また、つぶすことで料理のソースに和えやすくなるというメリットもあります。

会計でのマナー

日本のレストランでは、割り勘での支払いは原則的にしないほうがスマートです。ホストや幹事役がまとめてキャッシャーに持参し支払いをします。

 

時折、キャッシャー(レジ)の前で支払いを巡って譲り合っている光景を見かけますが、これは他のお客さまにも見苦しく、レストランにとってもレジ前で揉めることがあるように見えるため迷惑です。譲り合いをする前に相手側に悟られないよう、さりげなく支払いを済ませることが大切です。また、食事をする前にレストラン側に自分が支払いをすることを伝えておくのもコツの一つです。

 

 

覚えておきたいテーブル上のいろいろ

●シャンパングラス

乾杯用のグラス(シャンパングラス)には2種類あります。細長いグラスはフリュート型、飲み口の広いグラスはクープ型といいます。

 

●発泡性ワイン(スパークリングワイン)の種類

フランス・シャンパーニュ地方産のものはシャンパン(シャンパーニュ)と呼ばれ、シャンパーニュ地方以外で生産されたものはヴァン・ムスーと呼ばれます。その他、イタリアのスプマンテ、ドイツのゼクト、スペインのカヴァなどが有名です。

 

●パン

パンはキリスト教徒の肉とされ、ナイフやフォークを使いません。(バターを塗るためにはバタースプレターを使います。)

 

●口の中に小骨があるときは…

口の中に小骨が入ってしまったときの取り出し方は、二通りの方法があります。

①ナイフを皿に置き、フォークを右手に持ち替える。フォークの背の部分に小骨を乗せて、皿の上の方にまとめる。

 

②小骨が取り出しにくいときは、ナイフとフォークを皿に置き(食事中のサインになるように置く)、指先で取り出して、皿の上方にまとめて置く。指はナプキンでぬぐう。

※いずれの取り出し方も、左手で必ず口元を覆って、控えめに行いましょう。

 

●おしぼりは日本独自のもの

欧米ではおしぼりは提供されません。原則として、食事前にお手洗いできれいに手を洗ってから食卓に着くのが基本です。日本では着席するとおしぼりが配られることもありますが、この時は手を軽く拭く程度がスマートです。